登記簿の「甲区」欄は、その不動産の所有権の持ち主(所有権者)に関する移り変わりが記されています。「登記簿」に記された事項の中でも、一番重視される部分です。

登記簿では、旧所有者の氏名などは×印で抹消され、一番新しく記載されている所有権者だけが残されています。売買前のチェックではまず、登記簿上の所有権者が現在の売り主かどうかを確かめましょう。登記済証と突き合わせて一致すれば大丈夫です。なぜ、こんなことをする必要があるかといえば、現在の売り主と登記簿上の所有権者が違うことが時々あるからです。

たとえば、節税などの理由から、「中間省略登記」(所有権がA↓B(売り主)↓C(買い主)と移転する場合、Bによる登記を省略すること)を行うケースがあります。この場合、登記簿上の所有権者はAですが、売り主はBとなります。ただ、これは必ずしも、名義の食い違いの理由でははありません。なぜ違うのかについて、売り主および登記簿上の所有権者に必ず確認しておきましょう。

次に気をつけたいのが、所有権者が複数の場合。こういう不動産の売買については、名義人全員の同意(実印による押印)が必要とされています。夫婦や親子による共有名義であれば問題はまずないでしょうが、相続財産や離婚した夫婦の共有財産などの売買では、所有権者の間で意見が異なる場合もあります。あらかじめ弁護士などに相談した上で、慎重に手続きを進めた方がよいでしょう。

もう一つ注意しなければならないのが仮登記です。これは、正式な登記ができない場合に、登記順序のみを予約するもの。コンサートのチケットを買う行列で、本人に代わって列に加わる代理人のような役割を果たします。

注意したいのは、仮登記が本登記に切り替えられると、それ以後の登記に対して優先権を持つとされることです。つまり、あなたが正規の登記手続きを行った場合でも、所有権者として認められないことがあるのです。名前こそ「仮」ですが、仮登記はなかなか手ごわい登記。法律の専門家などの判断を仰ぐことが不可欠です。