マイホームの購入とは、その周辺の生活環境を手に入れることでもあります。毎日の通勤・通学や買い物、さらにちょっとした散策まで、暮らすということは、さまざまな周辺環境を利用することだと言えます。静けさや緑の多さ、眺望のよさなども、広い意味の生活環境の一部です。

中国古代の儒学者・孟子の母は、よい育児環境を求めて、三度家を替えたといわれます。後世、「孟母三遷」といわれる故事ですが、町選び、環境選びの大切さは、今も昔も変わらないといってよいでしょう。

「三遷」など及びもつかない私たちが、住まいの周辺環境を調べるには、どうすればいいでしょうか。新築物件の場合、パンフレットやリーフレット、ホームページなどにのっている情報が参考になります。また、仲介物件でも、不動産会社が簡単な資料集を作っている場合があります。まず、これらの利用から始めるのがよさそうです。この場合、注意すべき点がいくつかあります。

まず、徒歩時間と距離の関係です。不動産広告では八○m=徒歩一分と換算するよう義務づけられています(八○m未満は切り上げ)。これは時速に直すと、四・八キロ。かなりの早足に相当します。実際の徒歩時間は、データより多めになると見ておきましょう。

また、道路の起伏や踏切・信号の待ち時間などは、徒歩時間には入っていません。幹線道路を横断する時など、余計な時間が必要となることも頭に入れておきたいものです。

もう一点、注意したいのは道路まわりの環境です。車の通行量や人の行き来、バス通勤であれば朝夕の渋滞状況などは、データからは読み取れません。これらは、現地で確かめるのが一番です。たとえば、夜の帰宅が遅い人なら、実際に夜道を歩いてみるのです。

こんな場合も含めて、気に入った物件に出会った時は、周辺を実際に歩くことをお勧めします。その際、必要な生活施設は近いか、保育園は近いか、学校までは安全かなど、それぞれの家庭に応じたチェックリストを作っておくと便利。平日の昼と夜、休日の昼と夜という風に、曜日や時間を変えて歩けるなら、さらにベストでしょう。